2015-06-30

吉田健一「汽車旅の酒」に出てくる日本酒

つい先日、なかなか愉しい本を読んだ。タイトルの通り、「汽車旅の酒」吉田健一著(中公文庫)と言う本である。ひたすら飲んで食べて移動して泊まって飲んで食べて…な内容なのだが、読んでいる自分まで一緒に飲んでいる気分になれる。時には何を食べたか良く覚えていないと来たもんだ! それがまた、ヘンにリアリティを感じたりもしまして、ハイ。

個人的に羨ましいと思ったことは、自分も当時の食堂車に乗ってみたかったという点だ。より正確に言えば、当時の食堂車でビールを開けて飲みたかった。
思い返せば一度だけ、下り北斗星の食堂車で朝食を摂ったことがあるが、吉田健一氏の時代の食堂車とは全くの別物であろう。本を読みながら、「あー食堂車で飲みてーなー」と思いつつも、その北斗星のことは今まで思い出せなかった。

それはさておき、「汽車旅の酒」中には宿屋や料理屋、また日本酒の銘柄が登場し、これがまた興味を惹かれる。私はさほど日本酒にこだわりがあるわけではないのだが、作中に登場する日本酒の銘柄をピックアップしてみた。

  • 「或る田舎町の魅力」
    千歳誉
    児玉近辺の酒屋を検索するもなかなか見つからず、調べていくうちに吉田健一氏の記憶違いであることが判明。「紀行文学における事実と真実 − 吉田健一「或る田舎町の魅力」をめぐって −」島内裕子著(http://lib.ouj.ac.jp/nenpou/no17/NO_17-210-188.pdf)から「千里」と言う銘柄であるとのこと。だが、千里という銘柄の日本酒もついぞ見つからず。
  • 「姫路から博多まで」
    千福
    加茂鶴
    酔心
    名橋正宗 →不明、無くなった予感。
  • 「羽後瓶子」
    初孫
    今予司
  • 「旅と味覚」
    福正宗
    日栄
日本酒に明るくない自分としては、これらの銘柄はそもそも余り知らなかった。何となく聞いたことがあるような〜なレベルでは加茂鶴と酔心くらいか。それでも千里(千歳誉)と名橋正宗の二つが見つけることができなかったものの、やはり美味い酒は半世紀近く経った今でも健在ということであろう。
私としては、初孫と今予司に興味を惹かれる。

旅に出たいなあ。ハローの現場も仕事も無い旅に。

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