2015-08-21

アイドルという装置〜様々な表象

最初にタイトルを打ち込んている最中、唐突に、Félix Guattariの"L'inconscient machinique"「機械状無意識」と言うタームが頭に浮かんで、タイトルを"L'idole machinique"「機械状アイドル」に変えるか? と思ったが、どちらかと言うと「アイドル機械」の方が相応しいと思うので、とりあえずはこのままで。

前々から私は、アイドルと言うことについて、
「アイドル(一人の人間としての生身のアイドル)とは直接的に相対できず、何かしらの象徴装置・メディア・様々な意匠…と言ったレイヤを介して間接的にしか接することができない」(かな苫庵:Juice=Juice単独220公演
「誰々という生身の人間ではなく、アイドルという意匠を背負い、イマジネールなレイヤーを介して初めて相対することが可能になる彼女たち」(かな苫庵:久住小春卒業〜prologue
等と書き散らして来た。この、基本的な考えは今でも変わらなくて、アイドルと相対すると言うことは — 例え個別握手会等で個人的な話しで盛り上がっている時でさえも、「アイドルとの個別握手会」という意匠を介している — 表象的なレイヤを挟んでいると言うことだ。先ず以て、(個別に限らず)握手するためには大概金銭的な支払いが生じますし。そりゃまあ時には無銭イベントも無きにしもあらずですが、それはそれ、あくまでも一般論として、ね。
また少し言い方を変えると、

この「コマーシャリズムに乗ったアイドルという手垢」は、アイドルを応援していく上で社会的にもとても大事なものだと思っている。と言うのは、時には親子程も(人によっては更に孫程も)年齢の離れたローティーンに対してがっつくことが許されるのは、それがアイドルという名の意匠だとか象徴装置を纏っているからだ。そこら辺にいる普通の女の子にがっついたら、それは犯罪であり処刑の対象です。更に言うと、逆説的な謂いにはなるが、アイドルという意匠を纏っているからこそ推しの対象となれるとも言えよう。(かな苫庵:アイドルという意匠
要はキモヲタが(親子ほども歳の離れた)十代の女子と握手したりお話ししたりしても許されるのは(=処刑されないで済んでいるのは)、アイドルという社会的に認められた仕組みに従っているからだ。

っと、ここまで書いてきて話しの前提を確認しておくけど、今ここで私がアイドルと言っているのは、Hello! Projectのアイドルのことである。AKB界隈については皮相浅薄の誹りを免れないし、所謂地下アイドル界隈についてはドロッとした世界を垣間見てしまったりするので、ともあれ、ハロプロに代表されるようなメジャーアイドルについて(の一般論)と言うことで。

で、何の話しだっけ(笑)
アイドルという名の様々な意匠・象徴装置・仕組み…と言った、表象的なレイヤ・装置。この装置は社会的な安全装置でもある。そしてこの装置をいかに組み上げてより豊かなフィードバックを得、装置自体をもより高度化していくか。この点にヲタ個々の個性が表れる。意匠・仕組み・装置・レイヤ…と色々な表現をしているけど、まとめればそれらは「表象体系」と言う一語に尽きる。…イメージの世界・想像の世界・脳内妄想。in - outという点では脳内函数と言っても良いかもしれない。y = f(x) 函数(function)の機能(function)をいかに豊饒にして行けるか、そこにアイドルヲタクの個性がある。

様々なライブの参戦スタイル(フリコピ・完コピ・パフォーマンス重視・レス回収必死系・推しジャンマサイ…)・ガチ恋系・カプヲタ・限られた所与からいかに妄想を広げるか・接触認知厨・etc.
ヲタが構築する「表象体系」はそれこそ十人十色だろう。y = f(x)の従属変数たるyをいかにして豊饒にするか。恐らく、脳内妄想を炸裂した者が勝ち組である。自分がそう感じて、幸せになれたのなら最高ではないか。その為に対価を支払っているんだから! ルックが来て(笑)レスが来た(笑)と構成的内在がコギタチオから生じたならば、それで勝ちです!

f(x)の部分こそをヲタ飲みの場等で話し合い、深めたいと常々思っているけど、そのことに無自覚なハロヲタが殆どなので、なかなか難しいところではあるが。平たく言うと、

全ては脳内妄想・表象体系を介した話しなんだから、f(x)で得たyの話しじゃなくてさ、f(x)のところこそを話したいんだよ!
俺のアイドルという装置〜様々な表象はこんな感じだけれども、お前の装置・表象はどうなっているの? 俺とお前とで函数はどう違うの? そんな話しがしたい。
結局みんなyの話しばかりなんですね。f(x)の話しをできるのはやはり限られた人たちとの場に限られるようで。

様々な人たち。それぞれの表象体系。

私自身が、ヲタから一歩引いているのかもしれない。この、虚無感は何なんだろーう?

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