2013-04-16

ネット繋がりの友人が亡くなったら

これは私の経験を元に書き留めたものです。

SNSやネットのコミュニケーションツールがきっかけで友人になるということは、今では当たり前のように見られるかと思います。その場合は通常、連絡先はSNSやらメールやらあるいは例えばTwitterのアカウント名だけしかしらなかったりします。実際に何度も会って交友が深まれば、本名や電話番号などを知ることもあるでしょう。こうなってくると、知り合ったきっかけがネットというだけで、付き合い方やその性質はリアルの友人のそれと同じになってきます。
ただ、ネットがきっかけと言いますか、私がこれから書こうとしているのは、「ネットがきっかけで知り合った、ハロヲタのヲタ友」のことです。ヲタ友、つまり、趣味が同じで一緒に連むようになった友人、とでも言った方が良いのかな?なので、リアルの(例えば大学時代の)友人よりも頻度としては頻繁に会ったりすることになります。

さてそこで、そのヲタ友が亡くなったとしたら?

実際に私は5年前に一人のヲタ友を亡くしています。仮にS氏とします。
私とS氏とが知り合ったきっかけは2ちゃんねるの狼板の某スレッドでした。S氏は固定でトリップ付きで書き込みをしていましたが、私は基本的には名無しでした。一応トリップとBEは持っていましたが、S氏を煽ったりする時も基本は名無しでした。その後、スレ住人でオフ会を開き、そのオフ会で私とS氏とは初めて顔を合わせました。S氏は固定だったこともあり、「S氏がどんなやつか一目見てみたい!」という風に思っていた人は私以外にも結構いたと思います。オフ会の後、スレ以外に、mixiでの交流を経て、現場(ハロプロのコンサート)に一緒に行くようになり、連番するようになり、現場の後は飲んだり…と交友を深めていきました。ここまで来ると、携帯の電話番号やメールは交換し合っていることがほとんどでしょう。
(ちなみに、ハロプロのファンクラブチケットだと、申込者の氏名が記載されているので、自枠のチケットで相互に連番等をしているとお互いの氏名は早目に分かってしまったりします。それと、我々の場合、カジュアルディナーショーを連番で申し込んだことがあったので、住所・氏名・電話番号・年齢…等々の情報を交換していました。)
そのオフ会で知り合ってから3年後、とあるコンサートに3連番で行く予定でした。私とS氏と、同じスレ住人のもう一人共通の友人(A氏)の3人で私がチケットを申し込みました。うちらの習慣として、念のためコンサートの前日夜に集合時間と場所の確認をメールで連絡し合っていました。でも夜のうちには結局返信がなく、当日集合場所に行っても来たのはA氏だけでした。S氏は時々時間ギリギリに来ることもあったし、ここ最近は仕事が忙しかったみたいだから寝坊か?みたいな話しをしつつ、先に昼食を食べに行きます。そして飯を食べながら「寝坊してんじゃねーぞー」的なメールを送信。飯を食べ終えた頃、メールの着信がある。やっと目が覚めたか、と携帯を開くと…「○○(S氏の本名)の妹です」から始まる文面が目に飛び込んでくる。「兄は一昨日の早朝に亡くなりました。今日のコンサートも楽しみにしていたようでした。…」

2ちゃんねるの煽りコピペで「>>1の妹です。」から始まるアレをご存じの方も多いかと思いますが、とっさに私はそのコピペを想起し、「ああ、寝坊したことを言い訳してるんだな」と最初は笑って読んでいたのですが、どうも内容がおかしい。そもそもその妹さん本人の本名名乗ってるし…。
この様子を目の前で見ていたA氏は、「トマトの顔色がみるみる青ざめていくのが見えて、すごいイヤな予感がした」と言っていました。

本題はここから、ですかね。
私やS氏、A氏の関係性、我々以外にもスレ繋がりでS氏を知る者は多いが、連絡先とか覚束ない感覚…。この辺の微妙な塩梅のところを書いておきたいと思ったのでした。

とりあえず、その後私が取った行動をまとめていきたいと思います。

  • 先ずは、この現場に来てる知り合いには連絡して直接会って伝える。
  • S氏を知っていると思われる(スレ繋がり以外にも)人で、自分のアドレス帳にある人にはメールで連絡。
  • それと同時に、私は知らないけど、他にも連絡回すべき人がいたら回して欲しい旨を。

余談的な話になりますが、その当該コンサート自体には、入るべきか入らないべきか悩んだのですが、故人の供養も兼ねて、入ってやつの分まで応援してやろうぜ!的な結論に至りましたw

当日の行動(連絡)は、急な事態でパニクる中での判断だったので、とにかくなるべく拡散するようにとの思いが強かったです。その当時はまだTwitterもなく、メールとかが主な連絡手段だったのもあります。

そして、元々我々を繋いだ狼のスレッドには… 初七日を過ぎてから報告しようということでmsnメッセンジャーで合意に至りました。やはり狼は狼なので、S氏を含め現場で繋がってる連中に対して快く思ってない人もおりましたし、S氏の様な固定は叩かれてナンボなところがありますしね。
この判断に至るには、若干の迷いがありました。S氏を快く思わない者・S氏が快く思ってなかったであろう人・連絡役の私[がを]快く思わない者…
ですが、故人のことを第一に思って、私が連絡先を知っている人、が連絡先を知っている人、すなわち、友達の友達にはまずは事実を伝えたい。と思いました。好悪を問わず。

狼のスレッドには死後約一週間ほどして、私が先陣を切って報告の書き込みをしました。
多くはS氏の死を惜しむ書き込みが殆どでしたが、やはり一部にはざまー的な書き込みも散見されました。

ここで一つの決断をしました。線香を上げに行くとして、どこまで声をかけるか?です。数十人で故人宅に押しかけるのは迷惑行為ですし。最大はスレでの募集。最小は私が呼びたい人だけ。
結果、スレでの募集はしませんでした。私の携帯のアドレス帳、mixiでの呼びかけ(をしたつもりですが、してなかったかもしれません。)、に留めました。
結局それって、スレで出会って、オフ会やったり現場で会ったり…と諸々、S氏と何らかの繋がりがあった人なんですよね。今風・Twitter風に言えば、フォローとかしてるけど、それを超えて実際に会ったり話したり飲んだりした人!って感じでしょうか。そして何より、結果的にですが幹事的な役回りをすることになった「私」自身の主観にかなり左右されています。

スレでは、線香上げに行った後報告すると書き込みましたが、実はしていません。

そして5年後の今、狼のその当該スレはもう存在しません。
先日、S氏のお墓参りに行って、久しぶりにS氏のことを書き込みしたいなーと思うも、そのスレッドはもう無いんだった…。それ故、このエントリーを書いているのかもしれません。

さてさて。
少しは参考になったでしょうか。
2ちゃんねるとmixiがメインの昔と、Twitterがメインの今とでは大分状況も変わってきているかとは思います。
それと何より、私のこのケースでは故人のご家族との繋がりがあった、というのが一番大きいです。コンサートの前日から当日にかけてメールを送り、たまたまご遺族の方がそれに返信をしてくださったが故にS氏の逝去を知ることができました。これがTwitterだけだったら知らないままだった気がします。

今だったらどうでしょう。Twitterのフォロワーの○○さんが突然死したとして…そのことを誰が先ず知り得るのか。 …やはりそれを知り得る者がいたとしたら、知り得た者は最大限の努力を以て拡散するべきだと私は思います。そもそも、その死を知り得る人がいるかどうかすら危ういのですから。ですが、実際の行動として、線香を上げに行くとか墓参りに行くとかに関してはある程度の制限があっても良いと思われます。

何よりも、実際の人の生き死に対してもっと敏感でありますように。

kanatomato