2008-09-17

エッシャー展

佐倉市立美術館で9/23まで開催されている「ハウステンボス美術館所蔵 エッシャー展 永遠なる迷宮」へ行ってきた。

エッシャーについては、今から十年近く前にアメリカの友人からエッシャーのカレンダーをお土産でもらったことがあり、そのだまし絵的な要素は勿論のこと、それ以外の作風的な部分にも惹かれていたのだ。そして先週所用で京成線に乗った時に車内でエッシャー展の広告を目にして、確か今月までだったのを思い出し、急遽佐倉まで足を伸ばした。

エッシャーというとだまし絵の印象が強く、展示もそれが中心なんだろうと思っていたのだが、実際には初期の頃の版画やドローなどの展示も多く、とても興味深かった。
中でも特に印象に残っているものは、

  • イルカ(1923年 板目木版)
    イルカのフォルムに、ではなく、細かい点と線が成すマテリアル感というかイメージがまさにイルカのイメージを想起させてくれる。決して写実的ではないにもかかわらず、イルカのフォルムではなくイルカのイメージを喚起させるところが素晴らしいと思う。
  • 『スコラ哲学者の恐怖の冒険』の挿絵 25ページ(1931年 板目木版)
    この挿絵シリーズ一連のどれもが良かったが、中でも25ページが好きだ。ろうそくの炎を中心に集まる線は、炎から発散する光跡のようでもあり、また炎に空間が吸い込まれていくかのようでもあり…。
の二点。以後、所謂だまし絵的なものだと、
  • 昼と夜(1938年 板目木版)
  • 爬虫類(1943年 リトグラフ)
  • 偏平虫類(1959年 リトグラフ)
等が良かった。

平面の正則分割にせよ在り得ない立体にせよ、見る者の現実の感覚を危うくさせ、想像力を拡大させる。これは、(私的には)シュルレアリズムに通ずるものであり、マグリットやダリ、デ・キリコを好きな私がエッシャーに惹かれていたのも我ながら一人納得できた。

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