「フランス短篇傑作選」
今回はずいぶんと時間がかかってしまったが、ようやく岩波文庫の「フランス短篇傑作選」を読み終える。「オノレ・シュブラックの失踪」とか前に読んだ「怪奇小説傑作選」とダブるものもあるし、そもそも幻想的な作品が多い。どれも皆面白かったが、一つだけ好きなものを挙げるとすれば、ロジェ・グルニエの「フラゴナールの婚約者(フィアンセ)」だろう。
街の描写がなければ、1980年代の作品とは思えなかった。
解説に「ここにフランスの短篇の特色のひとつがあると言えるだろう。短篇小説は散文よりもむしろ詩の領域にぞくしているのである」とある通り、言語芸術の紡ぎ出す豊饒なイマジネーションは、近代~現代の文学に通底するものなのだろう。
ようやく次に崩すのは、城山三郎の短編集「総会屋錦城」。
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