2009-01-21

ケーゲル指揮による「田園」

ケーゲルと言う指揮者を知ったのはそもそも、宮下誠著『カラヤンがクラシックを殺した』(光文社新書)を読んでからである。その著作の中でベートーヴェンの『田園』について;

第一楽章には直ぐに暗雲が立ち籠める。「これで良いのか、本当に良いのか?」。音楽は穏やかに進行するがこの問いかけは最後まで演奏に纏い付いて離れない。
全く。
その通り。
非常に抑制されていると言うか、ぱっと見牧歌的なのにどこか現実味を持たない故に彼岸における田園的というか。自分が今いる"現"を見失いそうになる。
そして第五楽章(中略)最後の部分、音楽は止まったかのように動かない。途轍もなく遅いテンポでこれまでの道のりを回想し、先の問いには「?」で応えるばかりだ。音楽はわれわれを、そしてケーゲルをも置き去りにして終わる。
やはり終結部ではまたしても置いてきぼりを食らってしまった。
各楽章毎にタイトルが付いているのだが、それがとても白々しく感じられる。だって、「田舎へ着いたときの愉しい感情のめざめ」というよりかは、夢の中で列車から突然田舎へ降ろされてキョドッてる感情に近い。
宮下誠の言うように、疑問符が常について回るのは確かだと思う。
それでも何はともあれ、とても良い演奏だ。

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